第23回和歌の浦万葉薪能、初の雨天開催
2022年10月10日 17時17分
万葉の景勝地・和歌山市の和歌の浦で、能や狂言を鑑賞する「和歌の浦万葉薪能」が昨夜(10/10)、雨のため初めて屋内で開かれ、訪れたおよそ400人が、例年とは違った雰囲気の中、幽玄の世界を堪能しました。
この薪能は、地元住民らでつくる和歌の浦万葉薪能の会が毎年、開いているもので、今年で23回目を迎えました。
これまでは、毎年、和歌山市の片男波公園・特設ステージで開かれてきましたが、今年は雨のため、初めて、片男波公園内にある健康館のアリーナで開催されました。
今年の舞台では、大蔵流(おおくらりゅう)狂言の「濯(すす)ぎ川(がわ)」と、喜多流(きたりゅう)の能楽、「舎利(しゃり)」が上演されました。
このうち、能楽の「舎利」では、松井彬(まつい・あきら)さんがシテ役となり、京都の泉湧寺(せんにゅうじ)から、釈迦(しゃか)の遺骨、仏舎利(ぶっしゃり)を奪い去る足の速い鬼、足疾鬼(そくしつき)を演じ、終盤に現れた韋駄天(いだてん)に追い詰められ、仏舎利を取り返される、動きの激しい展開を披露しました。
初めての屋内公演となった、昨夜の万葉薪能には、およそ400人が訪れ、例年とは違う趣の中、室町時代から続く日本の伝統芸能に触れていました。
来場した和歌山市の男性は、「とてもおもしろかったです。能楽というと、お経みたいでわかりにくいイメージがありますが、あらかじめパンフレットであらすじを確認しておくと、内容を理解できてより興味深く鑑賞できました。屋内だったので、ゆっくり観ることができましたが、松明の中で観る方が雰囲気は良いと思うので、また来年も訪れたい」と話していました。
和歌の浦万葉薪能の会の松本敬子(まつもと・けいこ)代表は、「雨が降ったのは初めてでしたが、思ったより多くの人が訪れてくれてよかったです。来年は、野外で能楽の『敦盛(あつもり)』を上演します。『敦盛』は、中学生の教材にもなっているので、たくさんの若い人たちに見ていただきたい」と話しました。
昨夜の舞台では、狂言と能楽の上演を前に、観世流能楽師の小林慶三(こばやし・けいぞう)さんらが指導するワークショップで、8月から指導を受けてきた小中学生や大学生らが、謡(うたい)や仕舞(しまい)、太鼓を披露し、観客から盛んな拍手を受けていました。