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紀伊半島豪雨11年 地域の被災体験、絵に残す

2022年09月03日 17時44分

災害・防災

和歌山、奈良、三重の3県で死者・行方不明者が88人に上った紀伊半島豪雨から今月で11年となりますが、29人が犠牲になった那智勝浦町では、災害を機に防災士となった女性が地域住民から当時の状況を聞き取り、絵に残す取り組みをしています。

絵に残す取り組みを行っているのは、自らも氾濫した川に流され、夫を亡くした久保栄子(くぼ・えいこ)さん79歳で、証言を描くことで多様な災害の実態を分かりやすく伝えようと3年前から、近所の人に当時の状況について聞き取り、1人につき1枚、証言の象徴的な場面を画用紙に描いています。

2011年9月4日未明、夫の二郎(にろう)さん当時69歳と娘の靖子(やすこ)さんの3人暮らしだった久保さんは、町の防災無線で避難が呼びかけられていた中、自宅にとどまっていたところ、那智川の氾濫にのみ込まれました。

久保さんと靖子さんは歩道のフェンスにしがみつくなどして一命を取り留めましたが、二郎(にろう)さんは遺体で見つかりました。

当時住んでいた家は解体され、隣の地区にある空き家で2年間過ごした時、状況を文章にまとめて役場に提出しました。

72歳だった2014年、災害の恐ろしさを伝える活動をしたいと防災士の資格を取り、九死に一生を得た「私だけ」の経験を教訓として生かしてもらおうと、自らの体験を題材にした紙芝居を作ってこれまでに78回、語り部として小中学校や老人ホームなどで早めに避難することの大切さを訴えてきました。

記録画は、これまでに10枚が完成していて、久保さんは紙芝居で伝える自らの体験とともに「証言についても絵を通して多くの人に知ってもらいたい」と話し、今後も活動を続けるということです。

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