有事に備えよう!高校生が考える有事とは?

2022年08月16日 15時32分

イベント災害・防災社会

戦争や災害などの有事について学ぶイベント「有事に備えよう!歴史から学び、未来につなぐ生命の選択」が、このほど(8/8)、和歌山市で開かれ、和歌山県内の高校生が、何を有事と捉え、どのように対応するかについて考えました。

2022年8月8日・和歌山ビッグ愛1階大ホールで

これは、江戸時代末期に倒幕の立役者となった坂本龍馬を顕彰しようと発足した紀州・宗光龍馬会が、有事に対する想像力を高めてもらおうと、高校生を対象に初めて開いたもので、和歌山市の和歌山ビッグ愛1階・大ホールで開かれたイベントには、県立向陽高校と桐蔭高校の生徒あわせて16人が参加しました。

イベントでは、はじめに、紀州・宗光龍馬会会長の臼井康浩(うすい・やすひろ)さんが「わが国の近代有事・災害史」と題して講演し、「有事とは、ロシアのウクライナ侵略のような軍事的危機だけでなく、経済危機、人為的大事故、自然災害、社会的大事件といった緊急事態の総称」と定義しました。

講演する臼井会長

そして、鎖国していた日本が開国を迫られた1853年のペリーの来航以来、安政の南海地震や江戸大地震、コレラの大流行など、毎年のように災害や疫病が相次ぎ、1858年には、イギリスなど外国と相次いで不平等条約を結ぶことになった日本の歴史を紹介した上で、臼井さんは、和歌山市出身の陸奥宗光(むつ・むねみつ)が、この不平等条約を改正し、近代日本の発展に貢献したことを強調しました。

この後、自衛隊和歌山地方協力本部の三等陸佐、櫻井教子(さくらい・きょうこ)さんが講演し、1951年のルース台風被害を契機に自衛隊の災害派遣が始まったことを説明した上で、阪神淡路大震災や東日本大震災、紀伊半島大水害での人命救助や物資搬送のほか、去年、和歌山市で発生した水管橋崩落事故でも給水活動に関わったことを紹介しました。そして、桜井さんは、「災害派遣で欠かせない、正確な情報を掴むためには、普段からの自治体との連携が大事」と強調しました。

講演する桜井三等陸佐

講演を聞いた後、高校生が「有事」を想定し、自分たちならどう対処するか、何ができるかをおよそ1時間半にわたって考え、パソコンにデータをまとめて発表しました。

発表に向けて議論する向陽高校の生徒

生徒会が中心となって参加した県立向陽高校の生徒6人は、「有事に際しては、学ぶことが大切で、これはあらゆることの基礎になり、不安の解消につながる」と強調した上で、「例えば、水害では、食料の確保、避難所の運営、情報収集の3つが大事。なかでも情報収集にあたっては、偏向したものではなく、多角的な情報を得ることが重要」と指摘しました。

向陽高校による発表

一方、桐蔭高校の剣道部から参加した生徒10人は、南海トラフ地震の発生を前提に、いつ起きても対応できるよう、自宅にいる時や登下校時、学校にいるときなど、さまざまな状況を想定し、津波に襲われた場合には、屋上に全校生徒が集まるのは難しいので、校舎の2階の高さに相当する体育館に集合することを提案しました。

発表に向けて準備する桐蔭高校の生徒ら
桐蔭高校の生徒による発表

アドバイザーとして参加していた元外務副大臣の宇都隆史(うと・たかし)さんは、防災に関する議論のポイントとして、「当事者意識を持ち、想像力を働かせることが大切」とした上で、「公助を助けるという意味で、避難する際、自分の家に誰もいないことを示すため、白いタオルを玄関に結びつけておくだけで、時間が限られる人命救助活動に貢献できる」と指摘しました。

講評する宇都さん

参加した県立向陽高校2年で生徒会会長の溝上幸太(みぞかみ・こうた)さんと副会長の吉川優冴(よしかわ・ゆうが)さんは、「いろんな有事に普遍的に共通することとして、学ぶことをテーマとして設定しました。本を読むなどすることで、自分でどう動けばいいかを考えられるようになるのではないかと提案しました」「避難した後に白いタオルを巻くというのは、斬新なアイデアで、長く自治会長を務めている祖父に伝えようと思います」と話していました。

高校生の発表に高校生が質問する場面も・・・

また、県立桐蔭高校2年で剣道部キャプテンを務める川口裕誠(かわぐち・ゆうせい)さんは、「発生の危険が高まっているので、南海トラフ地震を取り上げました。頭だけで考えるのではなく、現実的に想像して災害に備えたい」と話しました。

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