「小さい手のリレー」絵本完成、学校に寄贈

2022年06月20日 18時55分

交通教育社会

通勤のため路線バスを利用している全盲の男性と、男性のバスの乗り降りを手助けしている小学生との交流を描いた「あたたかな小さい手のリレー」が絵本となり、きょう(6/20)、児童が通う小学校に寄贈されました。

絵本を読む河島さん(左前)と西前さん、松本さん(左後)と山崎さん

難病で全盲となった、和歌山市の山崎浩敬(やまさき・ひろたか)さん60歳は、通勤バスで一緒になった和歌山大学教育学部付属小学校の児童に介助してもらうようになり、10年以上にわたって続くこのサポートを「あたたかな小さい手のリレー」として作文にまとめ、コンクールで受賞しました。

このエピソードが絵本として出版されることになり、きょう、絵本を描いた、絵本作家の松本春野(まつもと・はるの)さんと出版関係者が小学校を訪れ、絵本の目録と複製された原画を贈呈しました。

贈呈式には、山崎さんも訪れ、いつもバスの乗り降りを介助してくれている小学4年の西前友雅(にしまえ・ゆい)さんと小学6年の河島香音(かわしま・かのん)さんに、絵本を贈りました。

西前さんと河島さんは、「お姉ちゃんたちを真似して続けていた当り前のことが、絵本になるとは思っていなかったです」「この絵本を通して、障害のあるにとって大切なことを知ってもらう機会になれば」と話していました。

贈呈式の後、絵本を描いた松本さんが、西前さんと河島さんのクラスで授業を行い、絵本の魅力を語りました。

松本さんは、「このエピソードを知った時に、押し付けのない、心のうちから来る善意の気持ちに触れて私自身が温かい気持ちになり、自然に絵筆が動きました。この絵を描かせてくれてありがとうと言いたいです」と話していました。

山崎さんは、「絵本が出版され、びっくりして感動しています。通勤バスでは、小学生が助けてくれますが、それ以外の場面では、まだまだ眺めている人が多いと思うので、この絵本を見て、お年寄りや障害者に声をかけてくれる子どもたちが出てくるきっかけになれば」と話しました。

「あたたかな小さい手のリレー」をモチーフにしたこの絵本「バスが来ましたよ」は、今月(6月)27日に発売されます。

来月(7月)3日には、和歌山市の「TSUTAYA WAY ガーデンパーク」で、午前と午後の2回、出版記念のイベントが開かれます。

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