殺人罪のベトナム人裁判員裁判 検察側12年求刑

2022年06月20日 18時55分

社会

田辺市のアパートでベトナム国籍の男性をナイフで刺し殺したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われているベトナム人の男に対する裁判員裁判がきょう(6/20)、和歌山地方裁判所で開かれ、検察側が、懲役12年を求刑した一方、弁護側は、殺意はなかったとして傷害致死を主張し、結審しました。

起訴状などによりますと、ベトナム人のグエン・クォック・カー被告24歳は、去年5月12日の午後3時頃、田辺市下万呂のアパートで、同じベトナム国籍の男性に太ももを噛まれたことで殺意を持ち、男性をバタフライナイフで数回、突き刺し、死亡させたとされています。

この裁判では、グエン被告に殺意があったかどうかが争点となっていて、今月14日の初公判以降、遺体を解剖した医師の証人尋問などを行ってきました。

きょうの論告で、検察側は、グエン被告は、「殺傷能力の高いバタフライナイフで、脚に噛みついてきた被害者の首付近を複数回振り下ろして刺していて、人が死ぬ危険性が高い行為で、殺意はあった」とした上で、「ナイフで刺した後、大量の血が流れているにも関わらず、救急車も呼ばず、逃走した」と指摘し、身勝手な犯行で、その後の事情も考慮するとして懲役12年を求刑しました。

これに対し、弁護側は、遺体を解剖した医師の証人尋問から、手元がくるった可能性を指摘し、「グエン被告は、被害者の左肩あたりを刺そうとしたが、首の、太い動脈を傷つけてしまった」と主張しました。そして「狙って刺した」とする検察側の主張を否定して殺意を否認し、「グエン被告は、生来まじめで、反省しており、裁判所の温情ある判決を求めたい」として、殺人ではなく、傷害致死の適用を求めました。

判決は、今月(6月)23日の午後3時から和歌山地方裁判所で言い渡されます。

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