華岡青洲語り部養成研修会・現地研修第一弾
2022年06月14日 19時26分
江戸時代に世界で初めて全身麻酔による乳がんの摘出手術に成功し、医学の塾『春林軒』で多くの医師を育てた紀の川市の偉人、華岡青洲(はなおか・せいしゅう)の語り部養成講座で、このほど(5/29)、青洲ゆかりの地を巡る現地研修の第一弾が行われました。
華岡青洲は、現在の紀の川市に拠点を置いた江戸時代の医師で、20年の歳月を経て麻酔薬「通仙散(つうせんさん)」を完成させ、1804年、世界で初めて、麻酔薬を使った乳がんの摘出手術を成功させた偉人です。
今回の現地研修は、華岡青洲の語り部を育成しようと検定制度を作り、学習会を開催した一般財団法人「青洲の里」が、合格した51人を対象に実施したもので、研修には、25人が参加しました。
現地研修で、一行は、青洲が作った、農業に必要なため池「垣内池(かいといけ)」や、華岡家の墓地、助けられなかった患者の霊を慰めるための供養碑や『春林軒』などを巡り、県立那賀高校の元校長で、学習会の講師を務めた谷脇誠(たにわき・まこと)さんの解説を聞きました。
親子で参加した山本宗代(やまもと・たかよ)さんと小学6年の彩加(あやか)さんは、「語り部になりたいと思って参加しました。お墓がたくさんあってびっくりしたし、ちょっと難しそうだけど、がんばりたい」「ちゃんと伝えられる語り部になれるよう、子どもを応援しながら一緒にがんばりたい」と話していました。
案内役を務めた谷脇さんは、「皆さん、私が思っていた以上に、華岡青洲先生への関心が高く、周りに広めたいという意欲を感じました。感染症対策をはじめとした予防医学を実践していた青洲は、いまも生きている、医学界で必要とされていることを皆さんにお伝えでき成果がありました」と話しました。
「青洲の里」では、華岡青洲が寄進したとされる高野山・壇上伽藍の西塔にある常夜灯や、青洲が影響を受けた高野山真言密教について学ぶ現地研修の第二弾を計画しています。
「青洲の里」の代表理事を務める神徳政幸(じんとく・まさゆき)さんは、「今回の現地研修では、歩きながらテキストに書き込んでいた熱心な人もいて、うれしかったです。今後は、講師の谷脇先生とともに こちらから出向く出張の出前講座を行っていくので、希望があれば、和歌山県の内外を問わず、申し入れてほしい」と呼びかけています。