殺人罪のベトナム人 裁判員裁判初公判で殺意否認

2022年06月14日 19時22分

事件・事故社会

田辺市のアパートでベトナム国籍の男性をナイフで刺し殺したとして、殺人と銃刀法違反の罪に問われているベトナム人の男に対する裁判員裁判の初公判がきょう(6/14)、和歌山地方裁判所で開かれ、男は「殺意はなかった」などと述べ、起訴事実の一部を否認しました。

起訴状などによりますと、ベトナム人のグエン・クォック・カー被告24歳は、去年5月12日の午後3時頃、田辺市下万呂のアパートで、同じベトナム国籍の男性に太ももを噛まれたことで殺意を持ち、男性をバタフライナイフで数回、突き刺し、死亡させたとされています。

きょうの初公判で、グエン被告は、通訳を介して「数回、突き刺したと書いているが、刺したのは一回だけです」と述べたほか、殺意については、「持ってないです」と否認しました。

この後の冒頭陳述では、検察側、弁護側ともに、グエン被告に殺意があったかどうかを争点とすることを明らかにし、弁護側は、突き刺した回数についても争う方針を示しました。

検察側の冒頭陳述によりますと、グエン被告は、2019年3月に技能実習生として来日し、群馬県などで仕事を転々とした後、去年5月、大阪府内の集合場所で、被害者のベトナム人男性と知り合い、一緒に田辺市の現場にやってきましたが、共同生活のルールを決める中で口論となり、太ももに嚙みついてきた男性の首付近の背中を刃の長さ13センチのバタフライナイフで少なくとも2回、突き刺すなどして男性を死亡させたとされています。

これに対し、弁護側は、冒頭陳述で、グエン被告が、逮捕された当時から一貫して殺意を否認し、突き刺した回数も1回だけと述べていることを強調した上で、「小さいナイフで左肩のあたりを刺した行為が死に至ると見通すことは無理であったと考えられる」として、殺意はなく、殺人罪にはあたらないと主張しました。

この裁判は、今後、遺体を解剖した医師や本人への尋問を経て今月(6月)23日の午後3時から判決が言い渡されます。

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