研究成果、初の動画公開 農業試験場・暖地園芸センター
2022年03月17日 22時08分
和歌山県内での野菜や花卉(かき)の栽培について研究している県の農業試験場と暖地園芸センターが今年度の研究成果をまとめ、現在、動画投稿サイトを使ってホームページで公開しています。
紀の川市にある和歌山県農業試験場と御坊市にある暖地園芸センターでは、農家が抱える課題を解決するため、あわせて20人の研究員が、テーマを決めて野菜や花卉(かき)、米(こめ)の栽培技術を研究していて、この情報を県内の農家に還元するため、一定の成果が出たところで毎年、発表しています。例年、発表会を開いて成果を披露していますが、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一堂に会する機会を設けず、初めてホームページで動画を公開しています。
動画投稿サイト「ユーチューブ」を使った発表のテーマは、冬場に大きく成長させるのが難しいスプレー菊をボリュームアップさせるための、照明を使った育成方法の研究など7つです。
このうち、アルメリアという花の鮮度を保持するための研究成果をまとめた暖地園芸センターの花田裕美(はなだ・ひろみ)園芸部長は、「スターチスの栽培面積が増え、販売価格が下落傾向となり農家の収入が減ったため、これを補完する花を探す中で、栽培効率や市場性などからアルメリアを選んで研究を始めたが、切り花にするとすぐに花弁(はなびら)が落ちてしまうことがわかり、これを10日以上、日持ちさせるのに苦労した。外部の機関からも協力を得て、3年かけてようやくこの花に適した鮮度保持剤を探し出すことができた。今後は、農家に説明し、早ければ、今年の秋から栽培を始め、5年後には、アルメリアを市場に浸透させたい」と話しました。
このほかにも、「まりひめ」や「きのか」など和歌山県独自のブランドを持つイチゴの研究開発も県農業試験場が担っていて、今回の動画による発表にもイチゴの研究が含まれています。
県農業試験場の東卓弥(あずま・たかや)栽培部長は、「試験場の一番の目的は、農家が収益を上げられるようにすること。そのために解決していくべき課題や問題点は、日々、出てくるので、緊急性の高い課題などをできるだけ早く解決できるよう取り組んでいる。「まりひめ」の喫緊の課題となっている病気に弱い苗を改良する研究についても、順調に進んでいる」と話しました。
研究成果は、動画で紹介されている7件のほかにも、6件が資料としてホームページで公開されています。
「ユーチューブ」を使った研究成果の公開は、今月(3月)22日までで、県農業試験場か暖地園芸センターに、電話かメールで問い合わせると、インターネット上で動画を見ることができます。