近大学生消防団参加の防災訓練 ドクヘリも出動
2022年03月10日 21時57分
東日本大震災の発生からあす3月11日でちょうど11年となるのを前に、紀の川市の近畿大学生物理工学部できょう(3/10)、直下型の地震を想定した訓練が行われ、学生でつくる消防団が放水して日頃の成果を披露しました。
訓練はきょう、紀の川市西三谷の近畿大学生物理工学部のキャンパスで行われ、午前10時に直下型地震が発生し震度6強の揺れが観測されたという想定の訓練には、大学の職員らおよそ100人が参加しました。
訓練では、職員らが避難した先の駐車場に災害対策現地本部が設置され、学内の消防団員のうち4人の学生が参加して放水訓練が行われました。
また、訓練には、和歌山県警察本部から、機動隊や航空隊、岩出警察署の警察官らおよそ30人が参加したほか、和歌山災害救助犬協会の2頭の救助犬と那賀消防組合の中消防署員およそ10人が参加し、壊れた建物からの救出訓練などを行い、助け出された人に、駆け付けたドクターヘリが応急手当てをして搬送したり、県警のヘリコプターが、ケーブルでけが人を吊り上げて収容する訓練なども行われました。
訓練のあと、講評した岩出警察署の植松勝己(うえまつ・かつみ)署長は、「この付近には、中央構造線断層帯の一部が通っていて、直下型地震の発生が懸念されている。実際の災害現場では、装備も環境も整っているとは限らないので、こうした訓練を重ねて練度を高め、大地震や想定外の災害に備えてほしい」と述べました。
また、このあと挨拶した近大生物理工学部の梶山慎一郎(かじやま・しんいちろう)学部長は、「今年度も、各地で災害が起きている中、生物理工学部では、学生消防団を中心に活動の場を広げるとともに、先月(2月)には、那賀消防組合と包括的な連携協定を結んで災害に備えているが、準備に関しては、やりすぎと言うことはないので、さきほど講評いただいた内容を胸に刻んで防災に取り組んでいきたい」と述べました。
学生消防団のリーダーを務める近畿大学大学院生物理工学研究科2年の阪東賢(ばんどう・さとし)さん23歳は、今月(3月)18日の卒業式を前に、最後の訓練にのぞみました。
阪東さんは、「去年も同じ訓練を行いましたが、今年は、大型のポンプ車をお借りして広範囲の放水訓練を行い、練習通りにできました。2年間、消防団に取り組む中で、社会に出た後、災害に対する知識を持った人材になりたいという意識が芽生えました。これまでは、男性のみだった学生消防団に、4月以降、女性も数多く入ってくれると聞いているので、消防団の活動に、女性ならではの視点を期待したいし、力作業を伴うので大変ですが、しっかり声を出して団結してほしい」と後輩にエールを送りました。
また、阪東さんの跡を受けて4月からリーダーとなる近畿大学大学院生物理工学研究科1年の廣瀬祐大(ひろせ・ゆうだい)さん23歳は、「災害時にスムーズに対応できるよう備えたい」と抱負を語りました。
近畿大学生物理工学部の学生消防団には、4月から、女性6人を含む17人の学生が所属する予定で、3人の職員をあわせて過去最多の20人で活動を行うことになっています。