「ひな流し」今年も渡御なく小舟が船出
2022年03月03日 21時25分
人形供養で知られる和歌山市の加太淡島神社できょう(3/3)、桃の節句の風物詩「ひな流し」が行われ、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため3年連続で中止となった渡御行列に代わって軽トラックで運ばれた白木の小舟が幼稚園児の歌にあわせて加太の海に船出しました。
きょう正午から行われた「ひな流し」の神事では、加太淡島神社の前田智子(まえだ・ともこ)宮司が祝詞を上げ、女の子の幸せや成長とともに、今年も新型コロナウイルスの感染拡大防止を祈願しました。
このあと、およそ5千体のひな人形が飾られた淡島神社の本殿から宮司のお祓いを受けたおよそ200体のひな人形が、2艘の白木の小舟に乗せられ運び出されました。
新型コロナウイルスの感染が確認されるまでは、例年、女性の参拝客が、ひな人形をのせた小舟を担いで本殿からおよそ600メートル先の海辺まで練り歩いていましたが、今年もこの「雛舟の渡御」は中止され、3年連続で、軽トラックに積んで運ばれました。
小舟を流す直前には、前田宮司が祝詞をあげ、巫女が紙吹雪を撒く中、和歌山市のあわ保育園の年長の女の子14人が「うれしいひなまつり」を合唱し、春の海に繰り出す2艘の白木の舟を見送りました。
友人とともに初めて訪れたという由良町の山本和美(やまもと・かずみ)さんは、「去年秋に淡島神社にひな人形を納めた友達に誘われて初めてやってきました。神事の最初からすべてを見ましたが、とても感動的で、来てよかったです。また観光でも訪れたい」と話しました。
淡島神社の前田宮司は、「コロナ禍の中、思ったよりもたくさんの参拝客に来てもらい、うれしかったです。一日でも早くコロナがおさまるよう祝詞をあげましたが、今年も女性に小舟を担いでもらうことはできませんでした。来年こそ、通常の形に戻して実施したい」と話していました。
加太淡島神社に寄せられたおよそ5千体のひな人形は、今月27日まで本殿に飾られています。