和歌山下津港にRORO船 定期航路化へ向け見学会

2022年02月10日 19時45分

交通災害・防災社会経済

トレーラーの荷台部分だけを運搬する「RORO(ローロー)船」と呼ばれる貨物船が今年(2022年)4月から試験的に和歌山下津港に寄港することになり、きょう(2/10)、和歌山県内の物流企業や製造業者向けの見学会が行われました。

和歌山下津港に停泊するRORO船「第五はる丸」(2022年2月10日)

「RORO船」は、船に積み込んだトレーラーから切り離した荷台部分だけを輸送する貨物船で、到着した港で別のトレーラーの運転席部分を接続すると、そのまま陸路を輸送できます。

また、この船の導入で、ドライバーの長時間に及ぶ輸送を減らすことができ、多くの車両が走行しなくなるため、二酸化炭素の排出量を抑えることもできるとして労働と環境の問題解決に寄与する輸送手段として注目を集めています。

船内には160台の貨物台を積載できる

きょう和歌山下津港に寄港したのは、大王海運のRORO船「第五はる丸」で、全長およそ180メートルの船には、トレーラーの荷台160台分を積載できます。また、ドライバーの休憩室もあり、トラックでの利用も可能です。

去年、リニューアルしたばかりの船内(写真はドライバーの休憩室)

きょうの見学会は、「RORO船」の和歌山への定期航路化を目指す和歌山県が、県内の物流業者や製造業者などに声をかけて行ったもので、見学会には、およそ130人が参加し、20人程度のグループに分かれて順に「RORO船」に乗り込み、大王海運のスタッフから説明を受けていました。

見学会の様子

大王海運によりますと、和歌山市内から千葉市内へ13トントラックで輸送する荷物を20トントレーラーでRORO船を使って輸送すると、ドライバーの年間運転時間をおよそ9割、二酸化炭素の排出量をおよそ4割削減できるとしていて、曽我部雅司(そがべ・まさし)社長は「RORO船のメリットを理解してもらえれば、荷物が集まってくると思うので、まずはよく知っていただきたい」と話しました。

県港湾空港局の山岸陽介(やまぎし・ようすけ)局長は、「2024年問題と言われるトラックドライバーへの労働規制強化で、これまで運べていたものが運べなくなる可能性があり、物流の効率化を図る上でも、和歌山県として船による輸送の選択肢を持っておいた方がよい。また災害時の物流の維持をはかるためにも海上輸送を確保したい」と話しました。

船の後ろにも乗降口がある

見学した物流関係者は、「働き方改革でドライバーの休憩時間も増えるので、できるものなら利用したいが、単価とコスト次第。相談会で確かめたい」とか、「労働時間などの考えなければならない問題があり、燃料も高騰しているので、利用価値はあると思っている。トラックでの利用を考えていて、今後、試験的に利用してみて、ドライバーへのヒアリングも行いたい」などと話していました。

今後、和歌山県と大王海運は、今月16日に業者向けの相談会を開いて、詳しい説明をした上で、今年4月の1ヶ月間、毎週土曜日に千葉県へ向かう上り便の航路を試験的に開設することにしています。そして、その利用状況を見て、5月以降も定期的に寄港するかどうかを判断します。

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