県内初・心臓の心房の穴をカテーテルで塞ぐ手術に医大が成功

2021年11月26日 18時43分

福祉・医療

心臓の右心房(うしんぼう)と左心房(さしんぼう)を隔てる壁の穴が開いたままになる、PFO「卵円孔開存症(らんえんこう・かいぞんしょう)」を小さな合金のディスクをカテーテルで挿入してふさぐ手術を、和歌山県で初めて県立医科大学の循環器内科が成功しました。より身体の負担が少ない治療法として、今後、普及が期待されます。

カテーテル治療の記者発表のもよう(11月26日・和歌山県立医大)

心臓の左右の心房の壁は、通常、母親の胎内にいる胎児のころは開いていて、生後数日で自然にふさがりますが、成人になっても開いたままになっているPFO・卵円孔開存症の状態が、全ての成人の20%から30%にみられます。

原因はいまのところ不明で、通常は穴が開いたままでも問題はありませんが、静脈に出来た血栓が動脈に流れ込み、それが右心房から穴を通って左心房へ抜け、やがて脳の血管に到達して詰まらせ、脳梗塞を引き起こすケースがあります。

左右の心房の穴にディスクを貼り付ける手術の図解

県立医大の循環器内科では、いわゆる「エコノミークラス症候群」がきっかけで循環器内科を受診した70代の患者にPFOが確認され、心房の穴を塞ぐ直径2センチから3センチの形状記憶合金で出来た2枚のディスクを、長さ1メートルあまりのカテーテルを使って患部に貼り付ける手術を行い、成功しました。

従来の胸を切開する手術では、術後から退院まで2週間ほどだったのが、カテーテル手術だと切開がなく数日程度で退院でき、患者の身体の負担が少ないということです。

県立医大の田中教授(奥)と和田助教(手前)

県立医大の田中篤(たなか・あつし)教授と和田輝明(わだ・てるあき)助教は「20代や30代といった若い世代で脳梗塞を繰り返す患者にPFOが判明する事も多い。再発を食い止めるため、身体への負担を軽減できるほか、脳梗塞の手前の軽いマヒ症状を起こした人への予防としても役立つことが期待出来る」と話しています。

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