第22回和歌の浦万葉薪能、2年ぶり開催

2021年10月11日 07時00分

イベント歴史・文化社会

万葉の景勝地・和歌山市の和歌の浦で、かがり火の中、能や狂言を鑑賞する「和歌の浦万葉薪能」が昨夜(10/10)、2年ぶりに開かれ、訪れた人たちが幽玄の世界を堪能しました。

かがり火の中、上演される「熊坂」(2021年10月10日・片男波 公園野外ステージ)

この薪能は、地元住民らでつくる和歌の浦万葉薪能の会が、和歌山市の片男波公園・特設ステージで毎年、開いているもので、今年で22回目でした。

去年は、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて最終的に中止となりましたが、今年は、座席の間隔の確保や検温、手指の消毒やマスクの着用など、感染予防対策を徹底した上で開かれました。

今年の舞台ではじめに上演された大蔵流(おおくらりゅう)狂言の「棒縛(ぼうしばり)」は、留守の間に酒を飲まれないよう、主人が、次郎冠者(じろうかじゃ)の両手首を棒に縛り付け、これを手伝った太郎冠者(たろうかじゃ)をも後ろ手に縛り出かけましたが、なんとしても酒を飲みたい2人は、協力して留守の間に酒盛りし、帰ってきた主人が怒り出すという展開で、棒に縛り付けられたまま酒を飲もうとするユーモラスな動きが客席の笑いを誘っていました。

協力して酒を飲む次郎冠者(左)と太郎冠者
1人では酒を飲めない太郎冠者

このあと、観世流(かんぜりゅう)の能「熊坂(くまさか)」が上演され、能楽師の片山九郎右衛門(かたやま・くろうえもん)さんがシテ役となり、盗賊とともに商人を襲って牛若丸に討ち取られた熊坂長範(くまさか・ちょうはん)の亡霊を演じていました。

薪能の会場となった片男波公園野外ステージには、およそ450人が訪れ、かがり火の中、上演される室町時代から続く日本の伝統芸能を堪能していました。

夕闇が迫る中、火入れが行われる

また、昨夜の舞台では、観世流能楽師の小林慶三(こばやし・けいぞう)さんによるワークショップで、7月から指導を受けてきた小中学生や大学生らが、謡(うたい)や仕舞(しまい)、太鼓を披露し、観客から盛んな拍手を受けていました。

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