あたたかな小さい手のリレー 1年ぶりに再開

2021年09月22日 19時11分

交通教育社会

通勤のため路線バスを利用している全盲の男性と、男性のバスの乗り降りを手助けしている小学生が、きょう(9/22)、およそ1年半ぶりに同じバスを利用し、「あたたかな小さい手のリレー」が再開されました。

バスのドアが開くのを待つ山崎さんら(2021年9月22日)

和歌山市の職員として勤務する山崎浩敬(やまさき・ひろたか)さん59歳は、目の難病で視力を失い、40代半ばからバイクに乗れなくなり路線バスで通勤していたところ、一緒のバスで通学していた和歌山大学教育学部付属小学校の児童が山崎さんに声をかけ、バスに乗りやすいよう介助してくれました。それ以来、山崎さんへのサポートが始まり、最初の女の子が小学校を卒業したあとも、同じ時間のバスに乗る別の児童が、山崎さんを支え続けてきました。

山崎さんは、このいきさつを「あたたかな小さい手のリレー」というタイトルの作文にまとめ、全国のコンクールで大賞を受賞しました。

この「あたたかな小さい手のリレー」は、新型コロナウイルスの影響で、一斉休校になった去年3月以降、山崎さんの出勤と、子どもたちの登校の時間が合わず、中断されていましたが、小学校の時差登校が終わったのを受けてきょうから再開されました。

バスを待つ間、小学校の話が弾む山崎さん(左)と河島さん(中央)と西前さん

きょうは、山﨑さんが、午前7時頃から自宅近くのバス停で待っていると、小学生が現れ、一緒にバスを待つ間、延期になった運動会や、今年春の異動で顔ぶれが代わった学校の先生などについて話していました。そして、バスに乗り降りする際、小学生の手で腰を押してもらっていました。

バスを降りた後、腰に手を当てて支える河島さん(右)

1年半ぶりに子どもと一緒にバスに乗った山崎さんは、「久しぶりに声が聞けてあたたかな小さい手に支えてもらいましたが、その手がずいぶん手が大きくなったなと感じました。来年3月で退職となりますが、このままコロナがおさまって、残り半年間、子どもたちと一緒のバスで通勤できれば」と話していました。

バスの乗り降りを介助した小学5年の河島香音(かわしま・かのん)さんは、「久しぶりだったこともあって、お話して楽しかった。大人になってもサポートをしていきたいので、山崎さんが退職するまでの間に、目の不自由な人が、より歩きやすいサポートの仕方を教えてもらいたい」と話していました。

また、一緒にバスに乗った小学3年の西前友雅(にしまえ・ゆい)さんは、「山崎さんと久しぶりに会えてうれしかった。来年、山﨑さんが仕事を辞めるまでずっと手助けしたい」と話していました。

点字ブロックまで山崎さんを案内

子どもから正しいサポートの仕方について教えを請われた山崎さんは、目の不自由な人の腰に手を当てるのは、本来のサポートの仕方ではないので、退職したら、目の不自由な人の正しい手引きを普及する活動に取り組みたい」と話しました。

山崎さんらが待っていたバス停には、河島さんと西前さんの母親も姿を見せ、「通常授業に戻って、会えないかもしれないと思っていた山崎さんとも会えました。募る話もあると思うので、バスを待つ間、子どもたちとゆっくりお話してもらいたい」「まだまだ落ち着かない状況ですが、退職まで残り少ないと聞いたので、これまで通り一緒に行ってもらえたら」と話し、バスに乗り込む様子を見守っていました。

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