「和ールド菓フェ」開催、紀州の和菓子と文化を考える会

2021年09月21日 19時55分

歴史・文化社会経済

子どもの頃に食べた和歌山県内の和菓子や、これから求められる和菓子像について話し合う催しが、このほど(9/18)、和歌山市で開かれました。

好きな和菓子の写真を示す参加者(2021年9月18日・和歌山ビッグ愛9階会議室で)

これは、和菓子の老舗の店主や研究者などを招いて和菓子とその文化の現状や課題について定期的に勉強会を開いている「紀州の和菓子と文化を考える会」が主催したものです。

催しでは、はじめに、考える会代表の鈴木裕範(すずき・ひろのり)さんが講演し、全国の和菓子を紹介した書籍の中に登場する和歌山県の菓子が少ないことを指摘した上で、「県内に和菓子屋さんが少ないのは、明治から大正、昭和の時代に、より売り上げの高いパン屋さんに転じたことや、販売の形態が小売りから卸売りに転じたことが大きく影響している」と述べました。そして、鈴木代表は、「小売店がないと、店を介した住民同士の結びつきが失われることになり、これは、和菓子に限らない深刻な問題。和歌山のコミュニティを巡る危機的問題を和菓子から考える機会として、きょうの『和ールド菓フェ』を開くので、和菓子について語ってもらいたい」と呼びかけました。

講演する鈴木代表

交流会では、紀州の和菓子と文化を考える会のメンバーらが、和歌山市在住者と、それ以外の地域に住む人たちの2つのグループに分かれて子どもの頃に食べた駄菓子や和菓子を言い合ったり、和歌山県にあったらいいなと思う和菓子について意見を交わしました。

このうち、和歌山市のグループでは、子どもの頃に食べた和菓子として、和歌浦せんべいや、駿河屋の本の字まんじゅうなどの名前があがっていました。

また、もう一つのグループでは、御坊市の釣鐘まんじゅうが話題にのぼり、土産用に販売される商品のほかに、製造過程で釣鐘の形がくずれたりした『くずれ』と呼ばれるまんじゅうが、家庭用に安く販売されていることが紹介されました。

交流会の参加者が寄せた意見をまとめた鈴木代表は、「参加者の感想からは、年代を超えて和菓子が好きな人たちが集まっていることがあらためてわかった。県内には、名物の和菓子が確かに存在するので、情報発信を含めて、それをブラッシュアップすることが求められていると感じた」と話していました。

紀州の和菓子と文化を考える会では、11月20日に三重県伊賀上野市のまちと和菓子店を巡るツアーを予定しています。

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