和歌山県「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」発刊
2021年09月09日 11時13分
和歌山県で死者・行方不明者61人を出した2011年9月の紀伊半島大水害から10年を迎えたことから、和歌山県は、被害の記録や復旧・復興の動きなどを冊子にまとめ、国や自治体、県内の学校などに配布しています。
紀伊半島大水害は、2011年8月30日から9月5日にかけて、台風12号がゆっくりとした動きで北上し、紀伊半島に2000ミリを超える大量の雨を降らせ、和歌山・奈良・三重の3県を中心に河川の氾らんや、土石流、深層崩壊が多数発生し、和歌山県では死者・行方不明者あわせて61人を出す大惨事となりました。
県では、災害の風化を防ぐとともに、復旧・復興に向けた応急措置や、水害を契機に構築された新たな防災体制の概要などを後世に残そうと、A4カラー版の冊子「紀伊半島大水害復興10年の軌跡」を作成しました。
この中には、被災当時の状況を写真やグラフなどで振り返るとともに、県や関係する機関が、復旧・復興に向けどのような動きをしたか、防災アプリやダムの事前放水など、水害後に作られた防災政策やツールなどが項目ごとにまとめられています。
あわせて、被災者の声や、深層崩壊による土砂崩れで住民5人が犠牲になった田辺市伏菟野(ふどの)の「復興のサクラ」も掲載されています。
和歌山県の仁坂吉伸(にさか・よしのぶ)知事は「災害を忘れないということは、二度と犠牲者を出さないよう、これまでの対策を引き継ぎながら、常にアップデートしていくこと。当時、水害にどう立ち向かったのかを知ってもらいたい」と話しています。
県では冊子を1500部作成し、国や都道府県、県内の市町村や教育機関、図書館、それに防災機関などへ配布しています。