海南市藤白・鈴木屋敷復元工事の起工式
2021年08月27日 17時37分
海南市藤白(ふじしろ)の熊野古道・紀伊路(きいじ)沿いにある「鈴木屋敷(すずきやしき)」の復元工事が始まることを受け、きょう(27日)現地で起工式が開かれました。
鈴木屋敷は、平安末期に熊野から移り住んだ鈴木氏の拠点で、ここから熊野信仰を全国に広めました。
敷地には、源義経(みなもとのよしつね)が立ち寄り弓を置いたとされる松の古木や、平安貴族らが宴を催した曲水泉式(きょくすいせんしき)の庭園も残され、国の史跡に指定されているほか、全国で2番目に多い「鈴木姓発祥の地」としても知られています。
しかし、老朽化で建物の維持が難しくなったため、藤白神社や海南商工会議所などによる「鈴木屋敷復元の会」が海南市と連携して、クラウドファンディングで屋敷の復元工事の資金提供を呼びかけたほか、国や県、市の補助も得て工事開始にこぎ着けました。
きょう、鈴木屋敷の敷地で開かれた起工式では、藤白神社の吉田昌生(よしだ・まさお)宮司が祝詞(のりと)をあげ、鈴木屋敷復元の会の会長で海南商工会議所の神出勝治(じんで・かつじ)会頭が鍬入れ(くわいれ)を行い、工事の安全を祈願しました。
吉田宮司は「多くの人々や行政のお陰で起工にこぎ着けた。熊野信仰を広げた鈴木氏の歴史を再認識し、後世に受け継いで欲しい」と話しています。
神出会頭は「全国の鈴木さんをはじめ、多くの人に鈴木屋敷を訪れて景色を眺めてもらいたい。老朽化やコロナ禍から復活を遂げる海南市の象徴となってもらえたら」と希望を語りました。
鈴木屋敷の復元工事は、再来年(2023年)3月に竣工する予定です。