【新型コロナ】ワクチン2回接種で感染9割減 重篤化せず、県調査
2021年08月12日 17時40分
新型コロナウイルスのワクチン接種で、和歌山県が、県内で2回接種した人について調査したところ、一度も接種していない人と比べて感染する割合が9割以上減少するほか、2回接種して感染するケースがあるものの、人工呼吸器をつけるなど、重篤な症状に陥った人はいなかったことがわかりました。県は、「ワクチンには、感染予防や重症化回避の効果がある」として、あらためて接種を呼びかけています。
県は、今年(2021年)7月11日以降の第五波でのワクチン接種の効果について、おととい(8/10)までの感染者の状況をまとめました。
それによりますと、感染が判明した568人のうち、ワクチンを2回接種した人は25人、1回接種した人が45人、接種していない人は498人でした。
これまでにワクチンを2回接種した人は県内で35万3千人余りいて、感染した人の割合は、0・007%、接種していない人の0・099%と比べておよそ93%減少することがわかりました。一方、1回の接種では、およそ55%の減少効果にとどまりました。
またワクチンを2回接種した後、新型コロナウイルスに感染した人のうち、肺炎になり酸素投与の処置を受けた人はいましたが、人工呼吸器を装着するなど重篤な症状になった人はいませんでした。
しかし、ワクチンを2回接種した人から、同居家族や同僚、友人ら身近な他者へ感染したケースが7例あり、きょう、データを発表した県福祉保健部の野尻孝子(のじり・たかこ)技監は、「感染や重症化予防の観点から、やはりワクチンを接種してほしいが、接種したからと言ってすべて解決ということではない。9割以上が接種すればかなりの効果を期待できるが、それはあり得ないので、ワクチン接種後も感染予防対策を徹底してほしい」と呼びかけました。
なかには、ワクチンを2回接種した人から、2回接種した人へ感染させた事例も複数あり、野尻技監は、「お盆を前に帰省する人が多いと思うが、今回の調査で、ワクチンを打ってもウイルスを排出して同居家族などにうつしていることがはっきりわかったので、十分、注意してほしい」と強調しました。
また、県福祉保健部の野尻技監は、若い世代に向けて、「副反応が怖いし、感染しても軽症で済むのでワクチン接種をしないという若い世代がいるが、感染者が増えると、基礎疾患のある人に感染が及び、重症者が増える。重症者が増えると医療がひっ迫する。和歌山県のホームページには、若い人から寄せられた『普通の風邪ではないことがわかった』というメッセージが掲載されている」と語りかけ、「いまは、感染予防対策を行い、地域の感染拡大を爆発させないことが重要」と指摘しました。
今回の調査では、県内にある高齢者施設の入居者と職員あわせて100人を対象にしたワクチン2回接種後の抗体保有調査も行われ、抗体が陰性だった1人を含め、およそ1割の抗体の値が、十分、上昇していないことがわかりました。
これについて、野尻技監は、「施設内に感染が持ち込まれた場合、クラスターになり得る可能性があり、感染しても症状が軽い可能性も高いことから、普段と違う症状があれば、PCR検査を積極的に行い、早期診断を行う必要がある」と指摘しています。