和歌山市・有吉佐和子生誕90年イベント11月3日開催へ
2021年07月30日 19時50分
「紀ノ川」や「華岡青洲(はなおか・せいしゅう)の妻」「複合汚染」など数多くのベストセラー小説を世に送り出した、和歌山市出身の作家・有吉佐和子(ありよし・さわこ)の生誕90年を記念した顕彰イベントが、ことし11月3日の文化の日に、和歌山城ホールで開かれることになりました。
有吉佐和子は、90年前の1931年(昭和6年)に和歌山市で生まれ、劇作家を経て、1959年、長編小説「紀ノ川」で小説家としての地位を確立しました。その後も、「華岡青洲の妻」や「恍惚の人(こうこつのひと)」「複合汚染」など、幅広いジャンルのベストセラー小説を発表しましたが、1984年8月30日、東京都杉並区の自宅で病気のため53歳で亡くなりました。
きょう午後、和歌山市役所で記者発表が行われ、一般社団法人日本ペンクラブと和歌山市が、この秋完成予定の新しい市民会館「和歌山城ホール」で「ふるさとと文学2021~有吉佐和子の和歌山」を11月3日に開催することが明らかにされました。
イベントは3部制で構成され、第1部では映像と語りと音楽で有吉の生涯を振り返り、第2部では、娘で大阪芸術大学教授を務める作家の有吉玉青(ありよし・たまお)さんらをパネリストにシンポジウムを行い、第3部では、京都の竜安寺(りょうあんじ)から着想を得た有吉初期の戯曲「石の庭」の朗読劇が行われます。
日本ペンクラブ会長で作家の桐野夏生(きりの・なつお)さんは「敬愛する有吉さんをテーマに、ふるさと和歌山で開催出来ることは大変素晴らしい。戦中の言論弾圧を経験した有吉さんが生きていたら、忖度などに象徴される抑圧に溢れる現代社会でどのような爆発を見せるのだろうと考える」と語りました。
日本ペンクラブ前会長で作家の吉岡忍(よしおか・しのぶ)さんは「映画で「紀ノ川」を見たという人は多いが、地元の若い世代で実際に小説を読んだ人は少ないのではないか。とにかく一度「紀ノ川」を読んでみて、と言いたい。コンサートでも見に行くような感覚で来て欲しい」と参加を呼びかけました。
和歌山市の尾花正啓(おばな・まさひろ)市長は「この秋の完成を目指す和歌山城ホールで、しかも国民文化祭の開催期間中に出来ることは、私たち和歌山市民にとって、文学を通してふるさとを見つめ直す絶好に機会になる」と話しています。
このイベント「有吉佐和子生誕90年 ふるさと文学2021~有吉佐和子の和歌山」は、11月3日・文化の日の午後1時半から、和歌山城ホール・大ホールで開かれます。入場は無料で、定員は450人です。
参加の申し込みは、8月1日から往復ハガキでの受け付けが始まり、締め切りは8月31日必着です。詳しくは、和歌山市役所・文化振興課に問い合わせて下さい。