和県警・広域緊急援助隊、熱海市から帰還
2021年07月12日 20時21分
静岡県熱海市で発生した土石流災害で、今月(7月)6日から派遣されていた和歌山県警察本部の広域緊急援助隊がおととい(7/10)、現地での任務を終えて帰還しました。
和歌山県警の広域緊急援助隊は、機動隊と、本部警備課や警察署の警察官でつくる管区機動隊で構成されていて、静岡県警からの要請を受け、26人の隊員が今月6日の朝、阪和自動車道の紀ノ川サービスエリアに集合して出発しました。6日の夕方、熱海市に到着した後、大阪府警から引継ぎを受け、7日から3日間にわたって熱海市の現場で人命救助と土砂の撤去作業に当たり、警視庁の隊に引き継いで10日の夕方、県警察学校などに帰還しました。
熱海市の現場で和歌山県警が受け持ったのは、地図上では、住宅などおよそ10棟が建っているものの、実際には2階建てのハイツ1棟が残っているだけの地域で、このハイツも1階部分が土砂で埋まっていたため、隊員は、2階の壁を工具で壊して中に入り、床に穴をあけて、1階にいるとみられる行方不明者の救助を試みましたが、土砂の量が多く、3日間の作業では、土砂の撤去が終わらず、行方不明者の発見には至りませんでした。
広域緊急援助隊の隊員は、おととい夕方、警察学校に帰還し、津田陽三(つだ・ようぞう)警備課長に報告し、ねぎらいの言葉を受けました。
隊を率いた中隊長の中垣亮(なかがき・りょう)警部は、現場での活動について、「10年前の紀伊半島大水害でも、那智勝浦町で救助に当たったことがありましたが、水で流された現場と、土砂で埋まった今回の現場とはまったく違いました。土砂がたまると、地面の地形がわからないため、重機が入れず、多くの人手が必要になりましたが、建物内に多くの隊員が入れるわけでもなく、もどかしさを感じました」と語りました。
救助にあたった3日間のうち、雨で付近の河川が増水するおそれが出た2日目と、小規模な崩落があった3日目の二度にわたって作業を中断したということで、中垣中隊長は、「時間が許すなら、夜間も救助活動にあたりたいと思いましたが、二次被害のおそれもあり、作業の日数が決まっていて、途中で断念したのは、とてもはがゆいです」と話していました。
また、中垣中隊長は、「災害現場周辺の人たちは、まさか自分のところで起きるとは思っていなかったと思う」とした上で、「住んでいる地域の地形やハザードマップを事前に確認し、災害の予兆があれば、早めに避難して自分で自分の身を守るようにしてほしい」と県民に呼びかけました。