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毒物入りカレー事件で再審請求

2021年06月16日 18時58分

事件・事故社会

和歌山市で4人が死亡した毒物入りカレー事件で、殺人の罪などで死刑が確定している林眞須美(はやし・ますみ)死刑囚59歳の弁護人がきょう(6/16)、記者会見し、和歌山地方裁判所に再審=裁判のやり直しを申し立てたことを明らかにしました。

記者会見する生田弁護士

毒物入りカレー事件は、23年前の1998年7月25日、和歌山市園部の夏祭り会場で提供されたカレーを食べた4人が死亡、63人が急性ヒ素中毒になったもので、会場の近くに住む林眞須美死刑囚が、殺人などの罪で逮捕・起訴され、2009年5月に死刑が確定しています。その後、林死刑囚の弁護団は、再審請求しましたが認められず、再審を認めなかった去年3月の大阪高裁の決定を不服として最高裁に特別抗告中です。

今回、再審を申し立てたのは、先の弁護団には加わっていない香川県弁護士会の生田暉雄(いくた・てるお)弁護士です。

5月31日付の申立書によりますと、供述調書の中で示された被害者資料鑑定結果表では、青酸化合物とヒ素の両方が67人の被害者全員の体内に含まれているという鑑定結果が出ていて、青酸化合物が入っていたのなら、犯行に及んだのは、林死刑囚以外の第三者となり、林死刑囚は無罪だとしています。

また、死亡した4人の死因について、申立書では、解剖結果と死亡診断書、死体検案書が証拠として提出されておらず、代わりに提出された書類は、8月付の捜査報告書に、2ヶ月後の10月作成の死体検案書が添付されるなど、問題点だらけとしています。

きょう記者会見した生田弁護士は、「起訴事実や判決では、ヒ素による殺人とされていて、青酸化合物のことはまったく触れられていない。青酸化合物が殺人の原因であるとする解剖結果はこれまで無視されてきたが、4人が死亡し即日、解剖されているのに、裁判の証拠になっていないのは問題だ」と指摘しました。

元裁判官の生田弁護士は、再審事件も担当したことがあるということで、林死刑囚からの依頼を受け、去年9月に面会して引き受けたということです。

再審請求のため、その後も20回近く、林死刑囚と面会してきたという生田弁護士は、申し立ての経緯について、「林死刑囚は、『オリンピックが終わると死刑が執行される』とおびえていて、『一刻も早く申し立ててほしい』と言われていた」と説明しました。

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