井澤弥惣兵衛を紹介する絵本「弥惣兵衛さんと紀州流」
2021年06月13日 16時50分
紀州藩出身の徳川八代将軍・吉宗(よしむね)のもとで新田開発に尽力した海南市(かいなんし)出身の土木技師・井澤弥惣兵衛(いざわ・やそべえ)を紹介する絵本がこのほど出版され、和歌山県内の主な書店で販売されています。
これは、井澤弥惣兵衛の功績を広く伝えようと2011年から活動している市民グループ「井澤弥惣兵衛さんを知ろう会」の活動10周年を記念して制作された絵本です。
弥惣兵衛は、江戸時代の1663年、現在の海南市野上新(のかみしん)で産まれ、大畑才蔵(おおはた・さいぞう)とともに、亀の川(かめのがわ)の治水工事や、紀の川沿いの小田井用水(おだいようすい)の整備を手掛けたほか、のちに紀州藩出身の徳川吉宗の命を受け、関東平野の新田開発も任され、埼玉県の利根川(とねがわ)から東京都足立区(あだちく)などに延びる見沼代用水(みぬまだいようすい)の整備事業を完成させ、吉宗を「米将軍」といわしめた人物です。
竹のといに水を注ぐ「水盛器(みずもりき)」という測量器の使用や、川に橋をかけて用水路を交差させる「掛渡井(かけとい)」という工法は「紀州流(きしゅうりゅう)」と呼ばれ、当時の最先端の技術として高く評価されました。
絵本では、弥惣兵衛が子どもの頃から算術や測量の才能に長けていたことや、吉宗の命による一大工事を完成させる様子などを、挿し絵や年表で分かりやすく紹介しているほか、家庭での様子など弥惣兵衛の人柄にも触れています。
絵本「弥惣兵衛さんと紀州流」は、定価700円プラス消費税で、和歌山市の宮脇(みやわき)書店など県内の主な書店で販売されています。