徳川頼貞候・南葵音楽文庫関連の書籍3点が刊行
2021年03月31日 18時51分
紀州徳川家の16代目当主で、西洋音楽の貴重な史料を集めた徳川頼貞(とくがわ・よりさだ)の著書や、頼貞の音楽資料のコレクション「南葵(なんき)音楽文庫」の解説本が、一般に販売されています。
これは、紀州徳川家の創設400年を記念して行われたものです。
徳川頼貞は学習院中等科の在学中から音楽に傾倒し、イギリスのケンブリッジ大学で音楽学を学び、楽譜や教本など多くの貴重な音楽史料を日本に持ち帰り「南葵音楽文庫」として後世に残しました。
およそ2万点におよぶ資料は、戦後、長らく読売日本交響楽団が保有していましたが、楽団の決まりによる制約で一般公開などの活用が難しい状況にあったことから、2016年に楽団から和歌山県に寄託され、翌2017年から県立図書館と県立博物館で公開されるようになりました。
このほど、写真入りで詳しく解説した案内本「紀州徳川400年 南葵音楽文庫案内」が県教育委員会の編さんで出版されたほか、頼貞が、明治・大正・昭和にわたって世界の著名な音楽家と交流した思い出を綴った自叙伝「薈庭楽話(わいていがくわ)」それに、南葵音楽文庫の司書を務めた作家で、頼貞の側近でもあった喜多村進(きたむら・すすむ)が綴った手記「徳川頼貞候の横顔」の3冊が、いずれも中央公論社から出版され、一般に入手できるようになりました。これらは県内すべての中学・高校に配布されるほか、都道府県立図書館や、国立国会図書館、音楽学科のある大学の図書館にも寄贈されます。
和歌山県立図書館では「紀州徳川400年を記念するとともに、南葵音楽文庫や頼貞候を広く知って欲しい」と話しています。