妻殺害の夫に懲役19年、白浜・水難偽装殺人事件

2021年03月23日 19時49分

事件・事故社会

4年前(2017年)の7月、白浜町の海水浴場で、シュノーケリングをしていた妻を水難事故に見せかけて殺害したとして殺人の罪に問われた夫に対する裁判員裁判で、きょう(3/23)、懲役20年の求刑に対し、懲役19年の実刑判決が言い渡されました。

判決によりますと、大阪市天王寺区の野田孝史(のだ・たかし)被告32歳は、2017年7月18日の夕方、白浜町の「臨海浦海水浴場」でシュノーケリングをしていた妻の志帆(しほ)さん当時28歳の体を浅瀬で砂に押し付けて溺れさせ、2日後に低酸素脳症で死亡させました。

きょうの判決で、武田正(たけだ・ただし)裁判長は、「志帆さんの胃に砂が見つかり、その後の検証で相当量の砂があったとみられる」という検察側の主張について、「証言した医師や専門家の証言は信用できる」として、野田被告が、志帆さんの顔を浅瀬で砂に押し付けて溺れさせたと認定しました。

また、武田裁判長は、「野田被告は、妊娠した不倫相手の存在が志帆さんに発覚し、志帆さんには、不倫関係の解消を、妊娠した女性には、志帆さんとの離婚を約束し、両立不可能な約束の期限が迫る中で、両者との関係を清算しようと犯行に及んだ。溺死にみせかけていて、計画性は明らか。志帆さんにかけられていた死亡保険金を手に入れるのも動機だった」と指摘しました。

そして、「殺害の方法は残酷で、事故死を装ったのは悪質。動機は甚だ身勝手で、強い非難に値する。反省の態度もみられない」と述べ、懲役20年の求刑に対し、懲役19年の実刑判決を言い渡しました。

被害者参加制度で公判に参加した両親らは、判決後、「何年たっても悲しみは癒えず、心の空洞は埋まらない。私たちは、判決を受け入れるつもり。なぜなら志帆は戻らないから」というコメントを出しました。

野田被告の弁護人は、「今後、被告と接見して控訴するかどうかを考える」と話しました。

この裁判で、野田被告は、「殺していない」と起訴内容を否認し、弁護側は、「事故だった可能性がある」と無罪を主張していました。

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