広がれ「手話バッジ」! 障害のある人もない人も安心できる社会を
2021年02月12日 22時24分
手話や筆談で耳の不自由な人とコミュニケーションする意志があることを示す「手話バッジ」を考案したグループが、バッジを販売した売り上げの一部を聴覚障害者のための老人ホームに寄付する活動を始めました。
これは、和歌山市内の病院で看護師を務める田中匡子(たなか・まさこ)さんが、聴覚障害のある患者から手話を習い、手話サークルにも通うようになる中で、去年3月、娘の美帆(みほ)さんとともに乗っていた電車が事故で止まり、車内アナウンスに従って乗り換えるという経験をしたことから、「もし聴覚障害のある人が乗っていたら、ちゃんと家に帰れたのか。困っている人に気軽に声をかけてもらえるよう、なにか目印になるものを作れないか」と考え、作成したものです。
デザインは美帆さんが担当し、缶バッジの製作は、これまでにも別の活動で缶バッジを作っていた、ボランティア仲間の藤本佐知子(ふじもと・さちこ)さんに依頼し、3人で「手話バッジ作成・糸」を立ち上げました。
当初は、耳の不自由な人がバッジをつけることを想定していましたが、それよりも、周りの人が、手助けする意思があることを示した方がいいと方針転換しました。
缶バッジのデザインについては、試行錯誤を繰り返し、いまは、手話での会話ができることを示す「赤いハートに手話マーク」と、手話を勉強中であることを示す「初心者マークを背景にした手話マーク」、そして、「筆談OK」の3種類となっています。
小さいバッジが300円、大きいバッジが400円で、去年7月から販売が始まっていて、材料費を除いた収益は、すべて和歌山県初で唯一の聴覚障害者のための老人ホーム「きのくにの手」に寄付されます。
田中さんは、「この手話バッジを通じて、障害のある人もない人も、地域で安心して暮らせるようになればと思うし、災害時に、手話ができてもできなくても、互いが力になれるようになれば」と話し、藤本さんは、「手話ができる知人から、『先日、困っている人がいたけど、声をかけると不審がられるので、自分が助ける意思があることを示せるのはいいね』と言われ、やはりこれを頑張って広めて、みんなが助け合える楽しい世の中になれば」と話していました。
これまでにおよそ300人がこの手話バッジを購入していて、田中さんらは、去年11月30日と今月(2月)8日に寄付を届けています。