バス通勤の全盲男性、支えてくれる小さな手に感謝のしるし

2021年01月26日 22時27分

福祉・医療話のネタ

難病で視力を失った和歌山市の男性が、通勤で使う路線バスで乗り降りの手助けをしてくれている小学生にお礼をしようと、きのう(1/25)、小学校に目のトレーニングを行う教材を寄贈しました。

北垣校長に教材を贈る山崎さん(右)

和歌山市の職員として勤務する山崎浩敬(やまさき・ひろたか)さん58歳は、30代に網膜色素変性症と診断され、その後、徐々に視力を失い、通勤に使っていたバイクに乗れなくなりました。

2005年、43歳のときに1年間、休職して大阪のリハビリセンターで白い杖の使い方や点字の読み方など生活するために必要な訓練を受け、翌年、復職し、路線バスで通勤し始めました。

白い杖で壁を確認しながらバス停まで狭い道路を歩く山崎さん(2021年1月19日)

これまでとは違う生活に仕事をやめようと考えたこともあったという山崎さんが、家族のために仕事の継続を決め、通勤のため、1人でバス停で待っていると、和歌山大学教育学部付属小学校にバスで通う女の子が「バスが来たよ」と声をかけ、山崎さんをバスに乗りやすいよう介助してくれました。それ以来、山崎さんへのサポートが始まり、最初の女の子が小学校を卒業したあとも、同じ時間のバスに乗る別の児童が、山崎さんを支え続けています。

山崎さんは、このいきさつを「あたたかな小さい手のリレー」というタイトルの作文にまとめ、全国信用組合中央協会主催の「小さな助け合いの物語賞」に応募して大賞を受賞し、その賞金で和大付属小学校に、目の動きをトレーニングするための教材を贈ると決めました。そして、きのう(1/25)、小学校で贈呈式が行われ、山崎さんが、教材の入った箱を北垣有信(きたがき・ありのぶ)校長に手渡しました。

山崎さんが寄贈した教材

このあと、山崎さんは、新型コロナウイルスの感染防止のため去年3月に時差出勤を始めるまでバスの乗り降りを介助してくれていた小学2年の女の子と、和大付属中学校へ進学した2年と1年の女の子の三姉妹、さらに別の小学4年の女の子のあわせて4人と対面しました。

山崎さんは、それぞれ1人ずつ語りかけ、「コロナでいまは一緒のバスに乗れないけど、またバス停で会ったら声をかけてください」と言われた小学4年の女の子は、「目の不自由な人に初めて会って、そうした人たちのサポートをしたいと思うようになりました」と話し、将来、ボランティアとして活動することを宣言していました。

山崎さんと対面を終えた三姉妹のうち、中学2年の女の子は、「初めて会ったときは、小学1年生で、一緒にバス停まで来ていた母親が山崎さんを介助しているのを見て、見よう見まねでやっていました」と話し、姉を真似たという中学1年の女の子は、「山崎さんと話をする中で、目の不自由な人にとって、信号機に音がついているだけで渡りやすくなることを知り、社会の工夫が必要だと思った」と話していました。

また、10カ月ぶりに山崎さんと会った小学2年の女の子は、「山崎さんと最近、会ってなかったので、元気なのかなと思ってたけど、元気でうれしかった。早く一緒のバスに乗りたい」と話していました。

児童より1本遅いバスに乗り込む山崎さん、小学生の姿はなく・・・

久しぶりに子どもたちと対面した山崎さんは、「話ができてとてもうれしかった。定年退職まであと1年2カ月あまり。早くコロナが収まって同じバスに乗りたいとますます強く思うようになりました」と話していました。

ところで、山崎さんは、目の不自由な人のための音の出る信号機の設置などで募金を呼びかける和歌山放送の「第35回ラジオチャリティ・ミュージックソン」にも、作文コンクールで得た賞金の一部を浄財として寄付しています。

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