総料理長に懲役1年6ヶ月求刑  アバローム贈収賄で

2021年01月22日 19時44分

事件・事故

公立学校共済組合が運営する和歌山市の「ホテルアバローム紀の国」に絡む贈収賄事件で、食材の発注で便宜を図る見返りに、業者から現金を受け取ったとして、収賄の罪に問われた総料理長と、贈賄の罪に問われた食品販売会社の元代表取締役に対する初公判が、きょう(1/22)、和歌山地方裁判所で開かれ、2人は起訴内容を認めました。きょうの公判では、本人を含む証人尋問などの審理がすべて行われ、およそ3時間で結審しました。

起訴状では、ホテルアバローム紀の国の総料理長を務める佐藤喜久一郎(さとう・ききちろう)被告59歳が、食材納入業者の選定や食材購入などの発注で有利な取り計らいをした謝礼として、去年1月、宝塚市の食品販売会社から34万3千円を、大阪市にある別の漆器店から14万1千円を、それぞれ受け取ったとされています。

きょうの公判で、検察側は、佐藤被告は、2001年に当時の料理長が辞職した後、アバローム紀の国の和食の調理に関する裁量を持つようになり、2002年から18年間にわたり、元食品販売会社から、毎月、アバロームへの売り上げの5%を、漆器店から、取引額の10%をそれぞれ受け取っていたと指摘し、その総額は2000万円近くにのぼることを明らかにしました。

被告人質問で、佐藤被告は、「はじめは、罪悪感があったが、長年、続けていると、薄れてきて、普通の感覚が麻痺していた」「受け取った金はパチンコや酒、たばこなどに使った」と述べました。

一方、贈賄側として出廷した食品販売会社の元代表取締役、合原浩司(あいはら・こうじ)被告52歳は、「佐藤被告へのリベートが賄賂にあたることはわかっていたが、創業者から引き継いだこともあり、売り上げを確保するためにもずるずると続けてしまった」と述べました。

この後、検察側は、公的な職務に対する国民の信頼を損ねたなどとして佐藤被告に対し、懲役1年6ヶ月、追徴金48万3千円、合原被告に対し、懲役10カ月をそれぞれ求刑しました。これに対し、弁護側は、すでに事件が報道されるなど、社会的制裁を受けているなどとして、刑の執行猶予を求め、結審しました。

判決は来月(2月)8日に言い渡されます。

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