調理部長に懲役1年2ヶ月求刑 アバローム贈収賄事件で

2021年01月20日 19時07分

福祉・医療

公立学校共済組合が運営する和歌山市の「ホテルアバローム紀の国」に絡む贈収賄事件で、食材の発注で便宜を図る見返りに、業者から現金を受け取ったとして、収賄の罪に問われた調理部長と、贈賄の罪に問われた鮮魚店の元経営者に対する初公判が、きょう(1/19)、和歌山地方裁判所で開かれ、2人は起訴内容を認めました。きょうの公判では、本人を含む証人尋問などの審理がすべて行われ、2時間余りで結審しました。

起訴状では、みなし公務員で、ホテルアバローム紀の国の調理部長を務める田村孝一(たむら・こういち)被告50歳が、食材納入業者の選定や食材購入などの発注で有利な取り計らいをした謝礼として、去年の7月と8月に元鮮魚店経営の尾崎洋子(おざき・ようこ)被告69歳から、ホテルや鮮魚店近くの駐車場で、あわせて10万1千円を受け取ったとされています。

また、この事件では、この2人を含め、ホテルの副支配人で総料理長の佐藤喜久一郎(さとう・きくいちろう)被告59歳や食品販売業者らあわせて6人が、起訴、あるいは略式起訴されています。

きょうの公判で、検察側は、田村被告は、2007年頃からおよそ13年間にわたり鮮魚店から、毎月のアバローム紀の国に対する売り上げの3%を受け取っていたと指摘し、その総額が2500万円近くにのぼることを明らかにしました。

また、検察側は、贈収賄事件の発生を受けて、ホテル利用のキャンセルなどでアバローム紀の国におよそ800万円の損害が出ていると指摘しました。

被告人質問で、田村被告は、「上司らが業者から接待を受けたりしているのを見てきた中で、別の業者が、わいろを出すと佐藤被告に申し出たことを聞き、これまで金銭のやり取りはなかった尾崎被告に申し出たところ、売り上げの3%という提示があった。受け取った金はパチンコなどに使った」と述べました。

一方、尾崎被告は、「最初は、断ろうかと思ったが、お金を渡さなかったら、アバローム紀の国との取引がなくなり、借金の返済や生活ができなくなると思い、応じた」と経緯を述べました。

証人尋問のあと、検察側は、公的な職務に対する国民の信頼を損ねたなどとして、田村被告に対し、懲役1年2ヶ月、追徴金10万1千円、尾崎被告に対し、懲役10カ月をそれぞれ求刑しました。これに対し、弁護側は、すでに事件が広く報道されるなど、社会的制裁を受けているなどとして、刑の執行猶予を求め、結審しました。

判決は来月(2月)3日に言い渡されます。

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