文化庁長官表彰受賞の池ノ上辰山さんの展覧会が和歌山市で開催中

2021年01月02日 18時15分

歴史・文化

和歌山県の伝統工芸「根来寺根来塗」(ねごろじねごろぬり)の保存と伝承に尽力したとして文化庁長官表彰を受けた岩出市の塗師(ぬし)、池ノ上辰山(いけのうえ・しんざん)さんの展覧会が、きょうから和歌山市の近鉄百貨店和歌山店で始まりました。

近鉄百貨店和歌山店・5階画廊にて

池ノ上さんは、中世に現在の岩出市周辺で作られていた「根来塗」の技法を、帝塚山大学の故・河田貞(かわだ・さだむ)教授とおよそ400年ぶりに復活させ、2007年に「県郷土伝統工芸品」に指定されたほか、文化財保護に貢献したとして、2019年に文化庁長官表彰を受賞しました。

「根来寺根来塗」は、ほとんどの時間を見えない下地「漆下地」にかけるのが特徴で、下地だけで、全行程26行程中19行程、半年がかりの手間をかけて作り上げます。そのため、沸騰した湯も直接入れられ、数百年にわたって使い続けられる耐久性があるということです。

展覧会では、池ノ上さんや池ノ上さん直弟子の松江那津子(まつえ・なつこ)さん、池上和慶さん(いけのうえ・かずよし)さんが制作した茶碗や酒器、おぼんやお皿にもなる「折敷(おしき)」などおよそ500点が展示されていて、使い込むと現れる「なれ」などの味わいを間近で見ることができるほか、作品を購入することもできます。

池ノ上さんから折敷(おしき)の説明を受ける来場者

池ノ上さんは「根来塗は焼き物より強いと言われ、使えば使うほど良さが出てくる漆器です。実際に目で見て、触ってもらって良さを感じて欲しい」と話していました。

展覧会「根来寺根来塗 宗家 池ノ上辰山展 角切折敷の諸種~辰山と直弟子たち」は、今月(1月)12日まで、近鉄百貨店和歌山店5階の画廊で開かれています。入場無料です。

WBSインフォメーション

WBSショッピング55