和歌山万博メイキングムービー#2
<情報発信:和歌山県>

和歌山万博メイキングムービー#1はここをクリック

過労死等防止対策推進シンポジウム

2022年11月21日 19時17分

社会

過労死やパワハラなどによる自殺を防ぐため、安心して働き続けられる社会をどのように作っていくか考える厚生労働省主催のシンポジウムが、きょう(21日)和歌山市手平(てびら)の和歌山ビッグ愛で開かれました。これは、毎年11月の「過労死等防止啓発月間」に合わせて開かれたものです。

きょうのシンポジウムのもよう(11月21日・和歌山ビッグ愛)

はじめに、若者の労働や貧困問題に取り組む、東京のNPO法人POSSE(ポッセ)の今野晴貴(こんの・はるき)代表が「日本の職場における過重労働・ハラスメントの構造と課題」と題して基調講演しました。

NPO法人POSSEの今野晴貴代表

今野代表は、日本の過労死対策は氷山の一角に過ぎないことや、日本企業のビジネス構造に過労死を引き起こす要因をはらんでいること、労働者の権利行使の支援の重要性を訴えました。

今野代表は「POSSEに寄せられる相談のうち、人間関係の悪化の背景には、長時間労働の常態化や、きつい仕事のなすりつけ合いが存在する」と指摘し、経営者側が、労働者側の能力不足や自己責任にすり替えようとしている点を問題視しました。

そして、セミナーや研修などの名目で精神的なプレッシャーを労働者にかけ続けて自主退職に追い込んだり、基本給に80時間の固定残業代を組み込んでいることを入社後に告知し、低賃金で長時間働かせる悪質な企業の実態と、過労が強いられる状況を紹介しました。その原因として、業務量や労働時間があらかじめ契約に設定されていないことや、少人数業務の弊害などを挙げています。

今野代表は「労災は労働基準法違反とは異なり、遺族が自ら証拠集めや因果関係の証明をしなくてはならず、企業側の証拠隠滅もあり、実態の把握が非常に困難」と訴えたほか、労働者の仕事上のストレス相談先が上司や家族、友人、同僚に限られ、労基署や労働組合に相談されるケースが極めて少ないことも指摘し「過労死の被害は自己責任ではない。我々POSSEや過労死弁護団などの支援団体の存在につなげて欲しい」と強調しました。

このほか、きょうのシンポジウムでは、落語家の桂三風(かつら・さんぷう)さんが、過労死問題をテーマにした創作落語「ケンちゃんの夢」を披露したほか、過労死遺族の講演も行われました。

WBSインフォメーション

WBSショッピング55